遺伝子の分析から導き出される人類学

こちらのサイトで進めようとしている農園計画では、未来のコミュニティのあり方についても考えたいと思っている。通常、住宅とは、まず核家族という単位があり、その単位を前提として、リビング、ダイニング、寝室、浴室、という部屋を組み合わせることによって作られている。一般的に、建築家が行う住宅設計は、それらの配列を検討し、形を与えることでしかない。しかし、核家族というコミュニティの単位も、歴史的なものである。時代が変われば、別のコミュニティが生活の単位として生まれてくることになる。実際、非婚化あるいは離婚率の増加という現象に見られるとおり、多くの人にとって、核家族というコミュニティが、うまく機能しなくなっている。近い将来、核家族という単位に代わる新しいコミュティのあり方が市民権を得て、それに対応した住処も求められるようになるはずである。農園計画でも、そんな社会の動きを先取りした提案が必要だろう。そんなことを考えていたら、つい先日、遺伝子の分析から人類学の研究をされている太田博樹先生にお会いする機会があり、立話ながら非常に興味深いお話を伺う事が出来た。太田博樹研究室僭越ながら、伺ったお話を要約すると、太田先生の研究のひとつに、男性だけに伝わる遺伝子と女性だけに伝わる遺伝子を分析することによって、人類が形成してきたコミュニティ(と生殖活動)を明らかにしようとするものがあるらしい。たとえば、女性に伝わる遺伝子に多様性があるのに対して、男性に伝わる遺伝子は種類が少ないとする。その場合、ある限られた数の男性の権力者が、多くの女性に子供を産ませていたと予測できることになる。つまり、その昔はある限られた権力者だけが、ハーレムを持つことが出来るというのが人類にとっての一般的なコミュニティのあり方だったわけである。現在でも、アフリカのブッシュマンには、僕らからは不謹慎とも思えるようなザーク(婚外性関係)という制度が残っているらしい。身体化された思考 ①シェアリングシステムの全体像今後、遺伝子の分析から人類が歴史的に形成してきたコミュニティに関してどのような研究成果が出てくるのか。住宅の設計という形で家族というコミュニティの単位と日々向き合っているものとしては、非常に興味をそそられる研究である。太田先生は、まだ著書を出版されていないとのことなのだが、早くこのような研究に関するまとまった論文を読んで見たいものである。

  1. 今回のエントリーについて、太田さんよりコメントを頂き、ザークの話は、偶然こちらがリンクを張った論文「シェアリングシステムの全体像」の執筆者である今村薫さんから直接聞いた話だということでした。立ち話の先に行き着いたのが、本家の方の論文だったようです。。。。。。ということで、リンク先の論文をご覧いただくと、ザークに関するより正確な情報が得られるはずです。是非参照して見てください。

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