渡-国際応急建築設計展 (Crossing: Dialogues for Emergency Architecture)

Crossing: Dialogues for Emergency Architecture元同僚で友人の建築家・松原弘典さんより、案内いただいたので、紹介しておきます。上記リンク先の公式サイトにあるとおり、中国北京の国立の美術館「中国美術館」で「渡-国際応急建築設計展(Crossing: Dialogues for Emergency Architecture)」が開催されるそうです。世界中から17組の建築家グループが招聘され、彼らが世界各地で災害後に建てられた応急建築について紹介するもので、展示会場には原寸大の応急建築の模型も展示されるとのこと。松原さんも、慶應義塾大学の松原弘典研究室と坂茂研究室の共同の名前で華林小学の仮設紙管校舎と家具の展示を行うそうです。近頃の建築生産の仕組みは、相当に硬直化してしまっている。最近の耐震偽装事件に端を発する法改正で、その傾向はますます強くなり、規定のシステムからはみ出すような生産方法は、ほとんど許されなくなってしまった。そして、建築家と呼ばれている人たちも、所詮そのシステムの上で、仕事をこなすしかない。既存の硬直化した建築生産システムの中では、厳しい法規や設計期間を守りつつ、厳しい試験をパスした既製品の建材を組み合わせた設計図を描く建築デザイナーでしかなくなってしまった。昔の建築家のように、新しい建材や工法、あるいは建築生産システムそのものを開発しつつ、作品を作り上げるのは、不可能になりつつある。そんな状況を踏えれば、本質的にクリエイティブな建築活動は、そのような硬直化してしまった既存の建築生産システムの外部に求めるしかない。その意味で、「災害時」という既存の建築物・建築生産システムが機能しなくなった時の建築を考えようとする、この展覧会には、とても可能性を感じる。中国の美術館で開催されるため、実際に観るのは難しいのだが、とても興味がひかれる展覧会だ。

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