ブランドショップのインテリアデザイン

最近、まとめて銀座や表参道の高級ブランドショップのインテリアデザインを見学してきた。基本的に、近代建築では、建築とインテリアデザインとを別のジャンルとして扱っている。そのため、建築家は、インテリアデザインを軽視する傾向があって、建築家の手がけるインテリアデザインは、ワンパターンになってしまうことが多い。ですが、人間の活動という視点から考えれば、エクステリアや構造などと同じく、インテリアも同じく大切なものであることには代わりはない。そこで、改めて、インテリアデザインを考え直してみたいと思っている。また、建築の設計では、得てして、予算的な制約からデザインの制約を受けることが多いが、高級服のブランドショップには、ブランドイメージを維持して、高級な商品の購買意欲を掻きたてるために、高級感を醸し出すデザイン施す必要があるはず。そのためには十分な予算もあてられていると思われる。十分な予算を使えば、普通は見ることのできないような、特殊な材料が使われていることもあるんじゃないか、そう期待した。しかし、結構いくつもの店を観て廻ったはずなのに、目に留まるデザインの店がほとんどない。どの店も使われている材料には、ほとんど違いがない。それなりの予算をかけているとは思うのだが、どの店のインテリアデザインも、プリントされた図柄やペンキの色、照明などで違いをつくり出しているだけである。ただ、逆に面白いのは、一般の人たちが、こういう陳腐なインテリアデザインに対しても、高級なブランドののショップとして、なにも違和感を持つことなく、理解しているところかもしれない。いうまでもなく、現代は実際のモノに触れることよりも、写真やテレビ、インターネットなどの映像で情報を得ている。それらのメディアが表現できるのが、図柄、色、光といった視覚的な要素である。これは、まさに現代の高級ブランドショップのインテリアデザインで扱われているものと同じだ。結局のところ、現代人の感じる「高級感」も、それらの視覚メディアで表現できるものだけで作り出されていて、手触りや経年変化によるテクスチャーや重さなど、視覚メディアで表現できない要素は、現代人には意識されないし、インテリアデザインでも、問題にされていない。

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