瀬戸内海と近畿

山地が多く、しかも山が海岸に迫って、平坦地の比較的少ない日本では、至る所に良港となる入江や湾が存在し、沿岸交通は陸上より便利であった。ことに、瀬戸内海は、九州・四国・中国・畿内にかこまれ、交通上きわめて大きな役割を担い、政治上・経済上・文化上、それなりに大きな役割を果たしたことは注目すべき事である。
弥生文化の普及が比較的早く、ことに、北九州とともに畿内が、二大文化圏の中心を形成するに至ったことの背景には、瀬戸内海交通があったと言わなければならない。また、朝鮮半島ー出雲ー畿内のルートも考えられよう。
田名網宏著『古代の交通』

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