さてこのような措置を講じたとしても、山陽新幹線のコンクリート構造物の余寿命はせいぜい、十五年~二〇年であろう、山陽新幹線よりも一〇年早く完成した東海道新幹線の余寿命は二〇年ていどと考えられるが、その代替線(第二東海道新幹線またはリニア中央新幹線)の建設計画は二〇年以上も前から練られている。しかし、山陽新幹線の代替線の計画が話題にのぼったことはない。
すでに工事が進められている整備新幹線の一つである九州新幹線鹿児島ルートは、西鹿児島―新大阪間を約四時間に縮めることにより、阪神地域までの日帰り往復という時間短縮効果をねらっている。しかし、完成予定の二〇年後には、山陽新幹線の寿命は尽きている。九州新幹線は、長期問にわたって高速鉄道ネットワークから切り離された状態におかれる。この事態は、収支採算性にも影響することになろう。整備新幹線の建設を進める前に、山陽新幹線問題を解決しておく必要があるのではないだろうか。
(小林一輔著『コンクリートが危ない』p70)
この本が出版されたのが1999年。
それからすでに14年が過ぎた。
山陽新幹線は、ここで小林一輔氏が指摘した寿命にまさに達しようとしている。
東海道新幹線とその将来的な代替路線としてのリニアの関係をみるより、
むしろ代替路線すらないまま崩壊に向かっている山陽新幹線に注目していく必要がある。
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