明治期の台所用品

 在来の台所用具をまとめた貴重な資料がある。題して『ドメスティクージャパン』、内題によると「日本の毎日の生活の品物と使い方の説明」というのである(神奈川県の成毛金次郎が編集発行人である)。全文英語で台所全体をあるがままにスケッチし、さらにそこに置かれている道具を一点一点図示し、名称と使用方法を記している。明治二十八年(一八九五)六月十八日の発行であり在来の台所用具の全貌がわかる。対象はおそらく東京の一般家庭であろうと思われる。つぎにそこに示された道具名をあげる。

1.こめびつ(米櫃)
2.ます(枡)
  A.いっしょうます(一升枡)
  B.いちごうます(一合枡)
  C.かきぼう(掻き棒)
3.こめかしおけ(米浙桶)            
4.こめとぎ(米磨)              
5.こめあげざる(米揚げ筑
6.めしびつ(飯櫃)
7.めしびついれ(飯櫃入れ)
8.ざるおはち(策お鉢)
9.しゃもじ(杓文字)
  A.あみしゃくし(網杓子)
10 しゃくし(杓子)
11.ちりれんげ(散蓮華)
12.せいろ(蒸寵)
13.ごぜんむし(御膳蒸し)
14 なべ (鍋)
 A.てつなべ (鉄鍋)
 B.あかがねなべ (赤金鍋)
 C.しんちゅうなべ(真鎗鍋)
 D.どなべ (土鍋)
15. ほうろく(焙熔)
16.ほうちょうかけ(庖丁掛け)
 A.なきりはうちょう(菜切り庖丁)
 B.さしみぼうちょう(刺身庖にI‘)
 C.でばぼうちょう(出刃庖丁)
17 まないた(俎板)
18.かわむき(皮剥き)
19.せんにんまい
20. おろし(下ろし〈金〉)
21.ゆであげざる(茄で上げ振)
22.めざる(目策)
23 かめのこざる(亀の千振)
24 こざる(小爪)
25 すいのう(水嚢)
26.すりばち(摺鉢)
27.すりこぎ(摺棒)
28.みそこし(味噌漉)
29 みずがめ(水甕)
30 ておけ(手桶)
31.みずこし(水漉)
32.みずおけ(水桶)
33.ぞうきんおけ(雑巾桶)
34.さるほう
35.ごみため
36くさぼうき(草帯)
37.ちりとり(塵取り)

岩井宏實著『民具学の基礎』p186

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