この円グラフは、土を固体の相、液体の相、気体の相に分けて、その割合をグラフ化したものだ。これを土の三相分布と呼ぶ(『土壌の基礎知識』)。“土”とはいっても、その中には砂も混じっていれば、粘土も混じっており、腐ったものや半ぐさりのものなどいろいろ混じっている。ところがこれらは土の部分でしかない。これらは土の固体の部分でしかないのだ。そして、この土を手に取って握ってみれば、ジュワッと手が湿ってくる。この湿り気が液体の部分で、今度は土を水の中に入れてみる。するとアブクが出てくるが、これが土の気体の部分ということになる。グラフでは、この割合が健全な土壌となっているが、干ばつ土壌では気相が多くて、液相が少なく、湿害土壌ではその逆の割合になる。もちろん、すべての作物がこの割合になっていれば、うまく生育するということではないだろう。水を張った水田を想像してみればそのことは明らかで、当然土の孔隙には、水がつまっている。しかし、水田も夏の始まる頃には土用干しを行う。土用干しとは、水田から水を抜いて、土を乾かすことをいう。この頃の稲作水田の三相分布は、水に満たされていたときの分布とは異なる。液相の割合が減り、気相の割合が増えているはずだ。ここからもわかるように、分布には時間的な分布も考えられるということだ。作物の生長に合わせて、その作物に見合った三相の割合を巧みに操ることができたならば大したものだ、ということなのだろう。土の物理性を考えるとき、この三相分布は便利だ。土の液相と気相を合わせた量を孔隙率という。
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