見かけは非常に異なるが、短い寿命の起源に関係する神話のいずれもが、同じメッセージを伝えており、相互の違いは使っているコードの違いにしか過ぎない。第二に、それらのコードは同じタイプであって、感覚的な質の対立を利用しており、感覚的な質に真の意味での論理的存在が付与されている。第三に、人間には五感があるので、基本的なコードの数は五である。五つのコードが示しているのは、全ての経験的可能性が体系的に数え上げられ、利用されているということである。第四に、これらのコードのうち一つが特権的な位置を占めている。それは食物の食べ方に関する-したがって味覚の-コードである。他のコードが味覚のコードのメッセージを翻訳することの方が、味覚のコードのメッセージを翻訳するよりは多い。というのは、火つまり料理の起源の神話が、短い寿命の起源の神話への入り口になっているからであって、アピナイェでは、短い寿命の起源は火の起源の神話の中のエピソードにしか過ぎないからである。このようにしてわたしは、先住民の哲学において料理が占める真に本質的な場を理解し始めた。料理は自然から文化への移行を示すのみならず、料理により料理を通して、人間の条件がその全ての属性を含めて定義されており、議論の余地なく最も自然であると思われる-死ぬことのような-属性ですらそこに含められているのである。
クロード・レヴィ=ストロース著『生のものと火をとおしたもの』p238
0 Comments.