植物や動物あるいは人間の死体や排泄物や分解物は、土の中や地表に住んでいる微生物によって分解され、土に育つ植物によって吸収されて生命の流れの大サイクルの中にはいってくるから、土の世話にならずに生存できるものはほとんどないといえる。
日光エネルギーによって空中高く育ちゆく樹木も、野に花咲く野草類も、いつか葉が落ち、からだごと枯死し死体となって土にはいってゆくし、これらの植物の間で生活していた虫類は野鳥に食われる。野草を食べていたウサギは排泄物を土中に与える。
動植物の死体や排泄物は、土中で微生物の栄養になったり、分解されて植物の養分として吸収されてゆく。土こそは物質循環のお世話役なのである。作物を栽培する耕地もまた、これらの循環のうえに、堆肥や化学肥料の施用、耕耘などが人工的に加わったより複雑な循環系である。前田正男/松尾嘉郎共著『土壌の基礎知識』p16
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