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お勧め動画。
「ナベツネ」
読売新聞のトップ、巨人のオーナー。
これまであまりいいイメージを持っていなかったのですが、この動画を見ていて、カントの哲学が彼の行動規範になっていて、今自分としても関心のある問題に向き合っていたのではないか、と急に親近感を持ちました。
渡辺恒雄は、東大の哲学科出身で、専門はドイツ哲学。
実際に、動画の中でも、カントの付箋が貼られた「判断力批判」が出てきます。
徴兵され、酷い仕打ちを受けた戦争体験と、それを繰り返してはいけないという理想としての反戦、平和。
いっぽうで、新聞記者として目のあたりにする現実への対応しての、泥臭い積極的な政治への介入。
ナベツネが置かれていた状況とは比べ物にならないまでも、僕も、プロジェクトマネージャーとして、これまでより大きいプロジェクトに関わると、当然、関わる人間の数が増え、業務がより政治的になってくる。
1人で出来る読書や、あるいは少人数の仲間で出来る作品制作なら、プロジェクトを個人の意思である程度コントロールすることができるかもしれないが、大人数が関わる政治や巨大プロジェクトとでは、それができない。
いろんな考え方をする人が多数かかわることで、状況はカオス化する。思い通りにプロジェクトは動かない。
その結果、理想をもった個人は、自分が抱く理想と、大多数が関わる現実とのギャップに向かい合わざるを得なくなる。そのギャップを埋めるための現実で行動するべきか、が問題となる。
カントの哲学は、そのような状況での行動規範になる。
「ナベツネ」のとった現実への対応が、理想に向かう道筋として正しかったか、どうかはわからない。
ただ、この動画をみて、「ナベツネ」のことを今どきの巷の哲学者や評論家より、よほど哲学的な人だ、と、これまでのイメージを一新させられました。